「文字を見るとイヤ!」な子に、ゴムとピンで笑顔を。
遊び感覚で“見る力”と“書く力”を育てる、べすとびじょん式の取り組み
「字を覚えるのが苦手です…」そんなご相談が増えています
「うちの子、ひらがなをなかなか覚えられなくて…」
「書き順は教えてるのに、なぜか違う形になってしまいます」
「プリントを出しただけでイヤな顔をして泣いてしまいます」
そんなお悩み、ありませんか?
私たちが関わる子どもたちの中には、「見えているはずなのに文字を覚えるのが苦手」「プリントを見るだけで緊張する」といった子が少なくありません。
でも、そういった子たちに共通して見られるのが、“見る力(視覚機能)”や“目と手の協応”がまだ発達の途中であるということ。
実は、文字を読んだり書いたりするには、視力だけではなく「目の使い方」や「見たものを体で再現する力」がとても重要なのです。
書けないのではなく、“見えていない・感じられていない”のかも
一般的に「文字が覚えられない」と聞くと、「練習が足りないのでは?」と思われがちです。
でも、実はその背景には、次のような要因があることが多いのです。
■ 見る→分かる→動くの処理に時間がかかる
目に入った文字情報を脳で正しく処理できないと、似た文字(「さ」と「ち」など)を区別することが難しくなります。
■ 視覚記憶の定着が弱い
見た形をイメージとして脳に残す力が弱いと、何度見ても覚えにくいということがあります。
■ 目と手の協応が苦手
視覚で捉えた形を、手で再現するには「目で見る→脳で理解する→手で書く」という連携が必要です。この流れがうまくいかないと、書くことに苦手意識が生まれてしまいます。
べすとびじょん式ビジョントレーニングでは、こうした見えにくさやつながりの弱さを、体の動きや遊びの中からアプローチしていきます。
プリントではなく、ゴムとピンで文字を体感!
そんなある日、「プリントはイヤ…でも、これならやりたい!」と笑顔になったお子さんがいました。
その時に使ったのが、ジオボードという道具です。

■ ジオボードとは?
ジオボードとは、ピンが並んだボードに輪ゴムをかけて図形や文字を作っていく教材です。
教育現場では空間認識や図形理解に使われることが多いのですが、べすとびじょん式では「文字のかたちを感じる・再現する」ツールとして活用しています。
この写真では、「さ」というひらがなを、紙に描かれた見本を見ながら再現しています。
■ なぜジオボードが効果的なのか?
ポイントは、「書く前に、形を“体で感じる”」というステップです。
✅ 1.目で形を観察する
どこから始まって、どの方向に動いているか、線の長さや位置をじっくり見て観察します。これは「見る→分かる→動く」力を養います。
✅ 2.頭で順序を考える
どの線から作るか、どう順番に組み立てるかを考えるプロセスで、「視覚記憶」「順序理解」「ワーキングメモリ」などが刺激されます。
✅ 3.手で再現する
実際にゴムを引っ張ってピンにかけていく動作は、目と手の協応をフル活用します。これは後に「書く」という動作につながる大切な力です。
「できた!」が心をひらく。自信が、学びの土台になる
この活動に取り組んだお子さんは、最初はおっかなびっくり、輪ゴムを1本ずつ手に取りながら「これでいいの?」「あってるかな?」と不安げでした。
でも、ひとつ形が完成すると、目をキラッと輝かせて「できた!」と笑顔に。
そして、何より印象的だったのが、そのあと「じゃあ、次は“さ”を書いてみようかな…」と、自ら紙とえんぴつを手に取ったことです。
これはとても大きな一歩です。
べすとびじょん式が大切にしていること
私たちが何より大切にしているのは、「できなくてもいいよ」の安心感の中で、【小さなできた”を積み重ねること】です。
無理に書かせるのではなく、
「見て・感じて・作って・楽しむ」
そのプロセスの中で、学びの土台が自然と育っていく。
べすとびじょん式ビジョントレーニングは、
子ども一人ひとりの発達に寄り添いながら、視覚・身体・認知・心の成長をトータルで支えています。
「うちの子、練習嫌いで…」という方へ
「書き取りが嫌い」
「同じプリントを繰り返しても身につかない」
「何度も教えているのに、なぜか覚えられない」
そんなときは、もしかしたら「練習不足」ではなく、学び方が合っていないだけかもしれません。
見る力や感覚の発達は、一人ひとり違います。
その違いを認め、そこに合ったアプローチをすることで、子どもは自然と「学び」に向かうようになります。
今回のように、ジオボードや輪ゴムのようなツールを使った【遊びの中のトレーニング】は、まさにその第一歩です。
最後に:保護者の皆さんへ
もし、あなたのお子さんが文字に苦手意識を持っていたとしても、
それは「能力の問題」ではありません。
多くの場合、「視覚・身体・認知のつながりがまだ育っていない」というだけなのです。
その「まだ」を育てる方法が、べすとびじょん式にはたくさんあります。
そして、それは怒らず、追い込まず、「一緒に楽しむ」ことから始められます。
🌱 興味がある方へ
べすとびじょん式では、親子で体験できる見る力チェック体験会や、日常に取り入れられる家庭用トレーニングのアドバイスも行っています。
「うちの子の場合は?」と気になる方は、お気軽にご相談ください。
あなたのお子さんの「できない」が、
「できた!」「やってみたい!」に変わる瞬間を、私たちは心から応援しています。
※本記事は日本ビジョントレーニング普及協会が提供するべすとびじょん式ビジョントレーニングの実践に基づいて執筆しています。
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